OQTA

タナカ

 

タナカとの出会い

 
タナカ、というのはネパール人のある男の子のあだ名。
彼の本名は「バインラ」という。
 
タナカの両親は目と耳に障害を持っている。
以前彼は両親の面倒をみながら公立の学校に通っていたそうだが、
9歳の頃に「ちゃんと勉強がしたい」と言い出した彼をアサさん(タナカの母代わり)が預かり、
学校に通い始めたそうだ。
 
タナカは私が拙い英語で何か話しかけると、
ちょっと考えてからすぐに理解し、ニコっと笑いかける。
とても勘が良い子。
 
11歳だけど、随分背が小さいのではじめは7〜8歳くらいに見える。
でも、話をするとなんだかませていて、むしろもっと大人みたいに感じる。
一度、同級生たちが家に遊びに来ていた時に、
一人そっとどこかへ行こうとしたタナカとふと目があった。
彼はニコっと私に笑いかけた後に、「しっ」と口に人差し指を当てて行ってしまった。
どうしたんだろう?と彼を追うと、
夕飯の鶏をこれから彼が捌くのだという。
「子供が見たらショック受けるからね、秘密だよ」
そう言って、せっせと仕事を続けていた。
大人びた口調で。
子供みたいな顔で笑って。
 
 
この時、
日本から持って来ていた鳩時計(OQTAデバイス)を設置できる家が、
このあたりで唯一wifiを引いていたアサさんの家だけだったので、
タナカの部屋に設置をすることにした。
私はこの1度目の訪問で、アサさんの家に3日お世話になった。
だからタナカとは3日間一緒に過ごした。
 
 

>>第0回「OQTA ネパールプロジェクト」

>>第1回「新しい支援のカタチとは?」

>>第2回「雲の上の学校」

>>第3回「はじめての訪問1」

>>第4回「はじめての訪問2」

>>第6回「音を送るということ」

>>第7回「再びコタンへ」

>>第8回「タナカの夢」

>>第9回「変化のはじまり」

>>第10回「ネパールの神様」

>>第11回「What is education?」

>>第12回「Abinash」

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